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“バイトテロ”の法的リスク

2013.10.07

アルバイトなどの従業員によるSNS不祥事発生が「バイトテロ」とネーミングされたようです。新名称が生まれてしまうあたり、一過性のイレギュラーな出来事とは言えなくなってきています。不祥事の実行者の中には、騒動が拡散する様子をみて「まるで自分が人気者になった気分」と浮かれた感想を漏らす若者も。リアルな友人同士内での「俺、給食の牛乳を3秒で飲み干したんだぜ」程度のちょっとした武勇伝自慢のつもりでいることに驚かされます。

従業員の幼稚な悪ふざけ自慢がSNSを通じて拡散したことで企業ブランドが大きく傷つき、臨時休業や店舗閉鎖などに追い込まれる事案が続発しています。ツイッター炎上で飛び火した企業は、実質は被害者でありながら加害者としての責任を負わされ、社会からの信頼を取り戻すために事態の収拾を図らざるを得ません。

消費者からの信頼の構築・維持・拡大といった企業ミッションが脅かされるこのリスクに対し、危機感をもって早急に手を打つことが肝要なのは言うまでもありません。事案発生を未然防止するための「リスクマネジメント」、発生してしまった後の被害拡大防止およびダメージ最小化の「クライシスマネジメント」の両面から対策を考える必要があります。

一方、不祥事を起こす実行者にどのような法的責任が負わされることになるのか。世の中の関心も高いせいか、事件の増加に伴い、弁護士の指摘が紹介されはじめています。

ある事情通の弁護士さんによると、“賠償請求され得る範囲”はここまで広くなるそうです。
・企業ブランドのイメージダウンに対する損害
・店舗の清掃費用、入れ替えした備品の購入費用
・事件の影響で廃棄処分にされた食材のコスト
・臨時休業による逸失利益
・申し出た利用客への返金
・キャンセルせざるを得なかった広告宣伝費
・法的に認められた精神的苦痛に対する慰謝料
・因果関係が認められた健康被害に対する補償
・閉店により契約履行できなくなった取引先などへの違約金
・巻き添えで解雇される従業員への支払い金
・退去に伴う賃貸違約金や無駄になった内装費用などの損失

さらには威力業務妨害や偽計業務妨害といった刑事責任が問われる場合もあり、「悪ふざけ」ではすまない羽目に陥る危険性もあります。アルバイトを含めた従業員全員に改めてモラルを考えてもらうには、法的責任を負う可能性があることを示すのもひとつのきっかけになるのではないでしょうか。

たとえアルバイトでも、企業に属する以上はコンプライアンス意識を持ち、社会規範を守ることが求められます。企業が従業員に多額の損害賠償金を請求することがありうるという賠償リスクと、個人情報やプライバシーが半永久的にさらされるというキャリアリスクがあるということを忘れてはなりません。

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