ブログ

山本裕典さんの契約終了にクギズケ!

2017.03.27

『上沼・高田のクギズケ!』出演経験をふまえ、クレーム対応コンサルタント視点で芸能ニュースを分析することに挑戦してまいります。

さて、俳優の山本裕典さんと所属事務所との契約が終了になったというニュースについて。
山本裕典、所属事務所から契約解除されるも「法的な問題を起こしたわけではない」
 週刊女性PRIME  2017.03.21

いったい契約終了の原因は何なのか?後追い記事ではご本人のプライベートが取り沙汰されていますが、このニュースで私が注目したのは事務所の告知文です。社会との信頼関係を守ることを目的とした企業のコミュニケーション活動としては、お手本にしてもいいほどの出来ではないでしょうか。

その理由を、簡単に解説してみたいと思います。
※青字が事務所の告知文です。

 

いつも山本裕典ならびに弊社所属のタレントへの応援、誠にありがとうございます。

導入部分は、日頃の御礼です。
まず謝意を示すことで、この告知文を目にする方々の存在を最優先で尊重していますという、誠実な企業姿勢を印象づけています。

この度、マネージメントをしておりました山本裕典が弊社とのマネージメント業務委託契約の内容に違反したため2017年3月21日付けで山本裕典とのマネージメント業務委託契約を終了することにいたしました。

結論から報告することで、この告知文で何を伝えたいのか読み手にすぐわかります。また、結論を先に知ることで、読み手にはその後に続く状況説明を聞く態勢が整います。

本日まで数えきれないほど、山本裕典本人と話し合い、何度も熟考を重ねました。しかしながら、本日までの一連の諸事情を鑑み、山本裕典が弊社の考える基準に至らなかったため、契約内容に違反したと考え、断腸の思いで、契約を終了することにいたしました。

この短文に、読み手に強く印象づけるキーワードが5つあります。

「数え切れないほど」「何度も熟考を重ね」
浅はかな考えで短絡的に決めたわけではない、とメッセージしています。

「一連の諸事情」
複数の要因がある、決して1つの事柄だけが原因ではない、とメッセージしています。

「基準に至らなかった」
あくまでも当社が求める基準を満たしていなかっただけで、山本さんのタレント性や人柄が劣っているわけではない、とメッセージしています。

「断腸の思い」
冷酷に事務的に決断したわけではなく、のたうちまわるほどの苦しみの中でやむを得なく辛い決断をした、とメッセージしています。

デビュー以来11年もの間、山本裕典を多くの人たちを魅了する俳優にするべく一緒に精進し、苦楽を共にし、彼の俳優として生きる姿勢を支えてきました。そのため、このような結果は、非常に残念であり、私共の指導力不足を痛感しているところでもあります。

事務所としては精いっぱいの努力をもって山本さんの芸能活動をサポートしてきた、手を抜いたマネジメントをしたわけではない。しかしながら、結果として契約終了に至ったのは事務所の努力が足りなかったからだと、山本さんを責めることなく、謙虚に自省の弁を述べることで好感が生まれます。

今まで長年にわたり山本裕典を応援していただいたファンの皆様、支えていただいた関係者の皆様、ご期待に添うことができず、大変申し訳ございませんでした。

この告知文を目にする方々のショック、憤り、哀しみ、不満などの感情問題に配慮した一文です。この共感の一文が加わることで、読み手は「私の気持ちをわかってくれている」と満足を感じ、多少なりとも気持ちが慰められます。

これからは別々の道を歩む事になりますが、今後山本裕典がどのように歩を進めていくのか、温かく見守っていただけたら幸いです。

辛い結果ではあるが円満に解決している、事務所として遺恨はない、とメッセージしています。

今後も、弊社社員一同、皆様に感動を与えられるような俳優たちを育て、苦楽を共にしながら、さらに精進してまいる所存でございます。今後ともご支援とご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

最後は前向きなご挨拶で締めることで、ポジティブな印象を残すことに成功しています。

 

企業が騒動について情報発信する場合、社会の信頼を得たいのであれば、まず企業としての謝意と責任の表明は外せません。「こちらに責任はない。悪いのは相手だ」という心情で用意された文章は、行間からその企業姿勢がにじみ出て、読み手に不快感を与えてしまいがちです。悪くすると責任逃れと受け止められ、強い批判を呼び込んでしまうこともあります。

読み手にハレーションを起こしにくい文言、いざという時のためにストックしておくことをお勧めいたします。